人が亡くなり、法定相続人が不存在で、縁故者などがいなければ遺産は国庫に入ることになります。
それまでの事務は、自治体が行うことになっておりその負担が重くなってきているのです。
引き取り手がいない場合、戸籍をたどって、相続人や親族等を探します。
しかし、引き取りを拒否されたり、引取先がない場合には自治体が火葬や埋葬を行います。
この時にかかる費用は、故人に財産がある場合は個人の財産から支払われ、故人に財産がない場合には
自治体が負担します。
法に則り手続きが進められ、結局相続人が現れないときは、清算の結果残った財産は特別縁故者に分与されるか
国有財産になることが決められているのです。
(特別縁故者とは、亡くなった人と同居していた人や、療養看護に努めた人。内縁の夫妻・親子等)
最高裁判所によると、相続人不在で国に入った財産額が2021年度に647億円となり、過去最高を記録した。
この財産は、家庭裁判所が専任した相続財産管理人が税金などの未払い、生前にその人のお世話をした
「特別縁故者」がいないかなどを確認し、残った額全てが国に入る。一人暮らしの高齢者が増えたことなどを背景に、
この10年で1.4倍に増加している。
国庫に入る金額が増えている反面、自治体では遺留金品の取り扱いについて、相続人調査の事務負担や非協力的な
相続人への対応の負担が重くなっている現状があります。
国庫に入るのは、言わば解決済みのもの。まだ解決できずに、自治体が抱えている「相続する家族を探す調査」
未解決案件の負担です。
亡くなった人の財産で誰にも相続されず、全国の自治体で保管されている遺留金は2021年10月末時点で
21億5000万円もあるということです。(総務省の調べ。2023年3月28日)
なぜこのようなことになっているのか?おひとり様・身寄りのない人が増えている現状があり、
何の準備をすることもなく最期を迎えてしまったのでしょうか。現実的には、どのようにしたらいいのかも
知らないいままなのかもしれない。悪くとらえれば、死んでしまえば何もわからない、誰かが何とかして
くれるのだろうと考えていた? いや、何も考えていなかったかもしれない。突然のこともあるし。
自分の思いを大切に
それぞれが意思を伝えなければ、国庫への帰属も遺留金品も増えていくばかりになってしまいます。
誰もが、生前一生懸命汗水流して働いて得た収入です。額の多少はあると思いますが、ただ税金になるのではなく
自分の意思をもって使われた方がいいのではないでしょうか。
準備対策をしておけば、自治体の負担も軽減でき金品が有効活用できることによって、
最後の社会貢献にもなります。
自分の意思で財産を有効利用するには「遺贈」という選択肢もあります。
「遺贈」とは、遺言により相続人又は、相続人以外の第三者に財産の全部又は一部を与えること。
「なんとかなるだろう」「誰かがやってくれるだろう」と人任せにするのではなく、しっかりとした意思を持って準備・対策をすべきだと強く思います。