先日、令和4年度の2回目の後見支援員フォローアップ研修に出席しました。
テーマは、「成年後見制度における財産管理」です。講師の先生は、地元で活躍されている司法書士の先生です。
当日の目標は、「後見人の権限と責任を理解する」ことでした。
研修参加者は、「市民後見人養成講座」を受講した登録後見支援員の方々です。
後見人に選任されるのは、親族・専門職・市民(区民)後見人等でありますが、民法の中にはこのような言葉は出てこなく、全員同じ「後見人」であり、権限も責任も、みんな同じです。
後見人は、不正な行為や後見任務に適さない事由があると、家庭裁判所から解任されます。責任は、刑事責任だけではなく、民事責任も負うことになります。
判断と裁量
後見人は、本人(被後見人)の財産管理や身上保護に関する事務を行うにあたって、法律の規定等に従うほか、本人の意思、心身の状態、生活の状況等を踏まえて、本人の利益となるように事務を行う必要があります。ただし、後見事務を行うにあたり、本人の利益となりえる方法が1つであるとは限りません。数ある選択肢のうち、どの方法を選ぶかは、後見人が最終的に責任を持って判断することになります。その意味で、後見人には、後見事務を行うにあたって、かなり広い「裁量」があるということができます。しかし、後見人が本人の利益を害するような事務を行った場合は、「裁量」の範囲外であるとして是正を求められ、場合によっては後見人を解任されたり、法的責任を追及されることもあります。
後見人の「裁量」の範囲は具体的にどこまでなのかは、一律に決まるものではなく、事案ごとの個別・具体的な事情によって異なります。
そのため、今回の研修ではいくつかの具体例をもとに、「裁量」の範囲に関する裁判所の考え方を学ぶことができました。
そして、裁判所の考え方をイメージしながら、裁量の範囲の初歩的な部分を理解できたかなと思いました。
その他にも、現金や通帳等の管理方法についても実例をもとに、実践的に学ぶことができました。
本人を知ること、意思を大切にすること、周りに親族の方がいれば本人を含めてののコミュニケーションが大事なのではないかと改めて感じました。本人からすれば、自分の意思を十分に尊重してほしいと言う気持ちが強いと思います。後見人は、その意思を十分理解して本人の利益となるように判断することが求められています。