理由は、絶縁状態だから!

全国の市区町村で管理・保管している引き取り手のない「無縁遺骨」は、
2021年10月時点で少なくとも6万柱にのぼることが、
総務省の初調査で明らかになっています。

無縁仏:供養してくれる人がいない仏のこと
無縁墓:墓が建立されたものの時間的経過により供養する縁故者がいなくなってしまった状態の墓
無縁遺骨:住所や氏名などが分からず引取者がいない遺骨や、
     身元が判明して親族などの所在も確認できるものの、引き取りを断られた遺骨。
     その他、落とし物として警察に届けられる遺骨もあります。
     

そのうち、5万4千柱は身元が判明しているものの引き取り手がない遺骨、
身元がわからない遺骨はわずか6千柱でした。

「墓地、埋葬等に関する法律」という法律があります。
「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、
死亡地の市区町村長が、これを行わなければならない」
とされています(同法9条1項)。

また、費用については、原則として死亡者の遺留の金品等をもってこれに充て、
次に相続人等の弁償を求め、
それでも足りない場合は市区町村の負担とすることになっています
(同法9条2項、行旅病人及び行旅死亡人取扱法)。
なお、相続人や身寄りがあったとしても、
遺体の引取りを拒んでいるような場合、市区町村が負担するのです。

相続人や身寄りの調査も
税金が使われることになるのです。

遺骨の引き取りや埋火葬の支払いを拒否する場合、
圧倒的に多い理由は『絶縁状態だから』というものです。
「そういう遺族に支払いを求めても難しい」と市区町村は対応に苦慮しています。

核家族化、希薄になった血縁関係。

葬祭扶助の支出総額110億円突破

葬祭扶助とは、遺族が困窮して葬祭費を支出できないケースのほか、
自宅や病院などで亡くなった身寄りがない人に対し、
家主や病院長など第三者が葬祭を執り行うと申請すれば、
行政が費用を負担するというもの。
葬祭扶助(生活保護費)は年々、増加し、過去最多を更新し続けています。

厚生労働省によると、2022年度は全国で5万2561件となり、初めて5万件を突破。
支出額も約110億円となっています。

都道府県別でみると、最多は東京都で9313件。過去最多です。
政令指定都市の最多は大阪市の5252件。こちらも過去最多です。

大阪市は無縁遺骨の数も過去最多となっています。

葬祭扶助費は都市部で1件約21万円と規定されています。
東京都で約20億円、大阪市で約11億円にのぼると見られ、
財政を圧迫しています。

年間110億円もの公費が使われ、
死者が残した遺留金は約21億5千万円
(金融機関に拒まれ引き出すことができないケースもあります。2021年10月)

遺体を保管する自治体は相続人を探し、
みつからなければ最終的には遺留金を国庫に納めることになります。
調査は難しくなっていて、自治体には財政的な支援もないとして、
金銭的・人的な負担が課題となっています。

税金は有効に活用されなければ・・・

調査などに労力を割かれることで、
福祉の支援を必要としている今を生きる人に
労力を使えない状況は、それでいいのでしょうか?
遺留金の対応や引き渡しがスムーズになれば
そうした人への支援に注力できることになるのです。

どんなにエンディングノートや遺書に書いても
見つからなければ意味がなく、
最低でもお金や大切な物をどうして欲しいかは
あらかじめ誰かに伝えておくべきです。

各地の自治体では生活保護の受給者が増える一方、
ケースワーカー不足も深刻で、ただでさえ業務が忙しく、
遺留金に付随する相続人調査の業務は大きな負担であると言われています。

ケースワーカーとは、病気・障害・貧困などを抱えている当事者や家族の相談を受け、支援する職業のこと。

孤独死する前に、孤立するな!!

厚生労働省の調査では、
一人暮らしの男性高齢者の15%は、二週間で誰とも話をしていない。
生きているうちから無縁のようになっている人たちもいる。
墓や死者供養が大事というよりも、
生きている間に周りとの接点がない人が増えている社会こそが
問題ではないでしょうか。

「どう生きるか」「ライフプラン」「人生のシナリオ」「生き方」

無縁遺骨の増加は、生前の環境の問題もありますが、
「孤立しない・させない」ことが大事ではないでしょうか。

そのためには、あなた自身の考え方が重要です。
そして、地域等のサポートも。

幸福な人生に最も必要なことは?
米ハーバード大学で1938年から約85年間、
同一家族を2世代にわたって追跡調査をした結果、
  (今では約2500人が調査対象になっています)
「幸福な人生を送るために必要なことは、いい人間関係だ」と結論づけました。
お金や地位、名誉ではないと。

一人では生きていけないとよく言われます。
意識して「つながる」ことが大事なのではないでしょうか。





この記事を書いた人

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長妻光行

「ひとりじゃない!!を感じながら日々を過ごせるように」を目的に

2020年4月 一般社団法人クオリティライフサポート協会 設立

事務的な準備・対策はもちろんのこと、同じような境遇の人たちと繋がり、心豊かな人生を愉しめる「場」をつくりたい思い、この仕事を始めました。